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大阪のマーケティングリサーチの専門機関、市場調査社のスタッフブログです。
日常生活でスタッフが感じたことや、弊社のサービスの紹介をしていきます。

60年前の女学生の就職事情(中野)2017年1月27日 金曜日

先日、古本市で古い少女雑誌を入手しました。「もはや戦後ではない」で有名な1956年(昭和31年)、10月号の「新女苑」という雑誌です。

 

■雑誌「新女苑」とは

表紙1

ネットでちょっと調べたところによると、「新女苑」は1937(昭和12)年に創刊された実業之日本社の雑誌で、1959年(昭和34年)まで発行されていたそうなので、1956年は雑誌としては末期に近い。

同じく、実業之日本社から創刊されていた「少女の友」のお姉さん雑誌という位置付けで、明確な記述はありませんが、誌面を見る限りでは10代後半の女子高生が対象とされている感じです。

私が買った号だとざっと60年前、現在70代後半の女性が読んでいた号ということで、さすがに当時の読者の声はネット上には見当たりません。

女子高生向けと言えども、女性の高校進学率が50%、大学進学率が5%程度の時代ですので、読者の中心層は中流以上の家庭の娘さんだったのではないでしょうか。

読み物が中心で、現在の週刊誌に近いですが、内容はややお堅目で、現在似たような雑誌はありません。グラビアに載っているスターは男性ではなく、同年代の女性が中心です(左:朝丘雪路、右:草笛光子)。

グラビア1

この年、大物議を巻き起こした「太陽の季節」に関しては、「最近の若者は皆ああだと思われたら困る」といった批判的な投書が掲載されています。

 

■60年前の女学生の就職

目次1

さて、この号の巻頭特集は結婚についてで、これはこれで面白いのですが、二つ目の特集である職業企画がなかなか面白い。

職業企画は3本立てで、現役のスチュワーデスに女子大生が話を聞くという対談企画(当時女学生の注目を集めていたのはスチュワーデスだったらしい)、若い女性のための有望な職業36種の紹介、職業安定所からの就職に対するアドバイスが掲載されています。

当時は神武景気の真っ只中であるものの就職難だったらしいのですが、女学生の就職は好調で希望者の95%以上が就職できており、しかも3年程度で寿退職する人が多かったため人材の回転がよく、新卒採用だけでなく中途採用も活発であるとあります。

女学校卒業後すぐに結婚する人がいる一方で、ちょうど集団就職が始まった頃なので、あくまで東京近郊に住む中流階級以上の女学生の就職事情だとは思いますが、内定に至るまでの手順は、現在とほとんど変わりません。

筆記試験、面接、会社によってはグループディスカッションを課す会社もあるとあります。3~4社受けて1社しか受からないのが普通で、なかなか決まらない人では10社以上受けてようやく内定が出ることもあるので諦めないようにとあります。

どうせ3年程度しかお勤めしないのであれば、そんなに就職先にこだわらなくてもいいような気はしますが、友達に自慢できる&労働環境が整っているということで、一流企業に勤めるのがステイタスだったらしい。

一流企業は倍率が10倍以上と高かったそうで、特に百貨店の店員は人気。育ちの良さが重視され、最も狭き門である東京三越に至っては、縁故採用のみだったとか。

履歴書以外に戸籍謄本や身の上調査書も必須だったそうで、そういう意味では現在よりも厳しい就職事情であったと言えましょう。肺病がないことが条件に挙がっていることも時代を感じます。

 

■60年前の給与

有望な職業36種の中には、モデルや女優、まだ女性が少なかった新聞記者やラジオ・テレビプロデューサーが含まれていることから、あまり現実的なラインナップではないように思えますが、保母、看護婦、学校教員、公務員といった、ひょっとすると定年まで勤め上げることができたかもしれない手堅い職業も含まれています。

現在ではおそらくほぼ需要が無くなってしまった、キーパンチャー、英文タイピスト、電話交換手、速記者が眩しいです。

この職業紹介には、職業に就くために必要な資格、条件、初任給が掲載されているのですが、職業によっては、現在の給与水準と異なっているものがあるのが興味深いです。

ちなみに、この年代の大卒の初任給は1万円、この特集を見る限りでは、高卒が8,000円、中卒は5,000円くらいが相場だったようで、初任給の時点では男女の給与格差はそれほどなかったのではないかと思われます。

モデルや女優を除外するといちばん給与が高そうなのが、皆の憧れのスチュワーデスです。基本給が1万5千円で搭乗する度に付く手当などを含めると2万2~3千円、アメリカ行きなど国際線の乗務があるその度に60ドルの小遣いが支給されるということで、前段の対談では女子大生からは嘆息の声が上がっています。

当時は1ドル360円の時代なので、日本円に換算すると約2万円(初任給相場の2倍)が小遣いとして支給されたということですね。そもそも現在に比べると滞在費が約3倍かかるので、丸々ポケットに入ることはなかったでしょうが… 日本円の額面だけで計算すると、月給が常に5万円あった場合、現在換算すると月収が100万円になりますので、年収に換算すると、なんと20代で1,000万プレイヤーの高給取りになります。すごい。

各種学校へ通って資格取得が必要となる職業は、初任給1万円前後が多い様子。教員1万円、保母9,000円、看護婦7,000円。看護婦よりも保母の給与が高いのが現在と違いますね。看護婦はそこそこ昇給するようなので、3年勤めると逆転したのかもしれません。

百貨店の店員は高卒で8,000円、公務員は大卒で6,500円と相場からするとかなり低いため、昇給もあるし待遇もよくて結婚後も勤められるから3年は辛抱しなさいなんてことが書いてあったりします。

 

私がこの時代の女学生だったとしたら、共働き覚悟で教員や公務員を目指すのもありだし、家計の足しにするのは洋裁の技術を持っているのがよさそうだけど、英文タイピストはかっこいい、3年程度で辞めるのであればおしゃれなオフィス街で働けるなら何でもいいな…、といろいろ目移りします。

この年代の女性の人生は、職業選択よりも配偶者選択や家庭による影響の方が大きかったでしょうから、最初の就職がその後の人生にどの程度影響があったのかは分かりませんが、聞いてみたいものですね。

(中野)

飲み込まれる「サイレントマジョリティ」(中野)2015年9月4日 金曜日

■五輪エンブレム騒動について
 先日の五輪エンブレム騒動を始め、最近さらにネットユーザーの声の影響力が大きくなってきているように感じています。

最初の綻びから、デザインに詳しい人の指摘、デザインには詳しくないけれど興味を持った人による膨大なリサーチ、連日の新しいリサーチ結果の発表、追随するマスコミ…。ついにはエンブレムの取り下げという事態に…。

ネットがない時代であれば、せいぜいデザインに詳しい人による疑惑が週刊誌に載るくらいで、一般生活者が疑惑を知る由もなかったことでしょう。
疑惑を知ったとしても、「そういう疑惑があるらしいけど、それで選考をやり直すのに余計な費用を使う必要はないんじゃない?」あたりの意見に大体集約しそうな気がします。

また、ネットの有無関係なく、そもそも五輪エンブレムに意見をするほど思い入れを持つ一般生活者がどのくらいいるのか。少なくとも、私はそこまでの思い入れはありません。
大抵の人は「あー、こういうデザインに決まったんだね」程度で、賛否を表明できるほどの意見は持ち合わせてはいないのではないでしょうか。

こういったことを考えると、最初に、やいやい言い出した人の意見がだんだん市民権を得て、まるで一般生活者の総意のようになる様というのは、非常に恐ろしく感じます。

■ネットユーザーの声が大きくなる仕組み
ネットユーザーの声の影響力が大きくなってきているように感じる理由としては、ネットでの拡散のスピードと量が加速していることが理由として考えられます。

90年代の「東芝クレーマー事件」がよく知られるようになったのは、東芝の対応について糾弾したホームページのアクセス数が徐々に増え、大手マスコミが取り上げるようになってからのことで、騒動がよく知られるようになるまで、半年はかかったようです。

一方、五輪エンブレム騒動は発端となったエンブレム発表が7月24日、取り下げが9月1日ですので、この間1ヶ月強しかかかっていません。

少し前までこういった騒動は2ちゃんねる発が多く、一般生活者にまでは波及しないことが多かったように思いますが、最近は2ちゃんねるやTwitterなどの公開SNSが相互に燃料を補給しながら騒動が拡大していくパターンが多いような気がします。

(1)2ちゃんねるとTwitterでちょっとした騒動になる
(2)騒動のまとめサイトができて騒動に触れる人が増える
(3)2ちゃんねるとTwitterでの騒動がさらに拡大する
(4)アルファルファブロガーなどネット界の有名人が騒動に言及
(5)さらにまとめサイトのコンテンツが増える
(6)ネット上のニュースを取り扱う媒体がニュースとして取り上げる
(7)アルファルファブロガーが騒動内容を記事にする
(8)(7)(8)がYahoo!などの有名ニュースサイトに転載される
(9)テレビのワイドショーが取り上げる
(10)週刊誌がネタにする

五輪エンブレム騒動もリアルタイムで追っていたのではないので実際のところは分からないのですが、今回もおそらくこういった流れで騒動が拡大していったのではないかと思われます。

昨今の騒動のスピードと量が加速している原因は、まとめサイトの存在です。まとめサイトができるまでは、単純に騒いでいるだけで賛否善悪どちらともついていなかったことが、まとめサイトで恣意的にまとめられることにより、騒動の方向性が決定づけられます。
まとめサイトは大体アフィリエイトを目的としているので、PV数を増やすためにより煽情的なタイトルを付け煽ります。

ネットリテラシーが低い層は、原典にあたることをしないので、まとめサイトが原典となり、煽情的な内容を真実として認識します。
騒動が進むにつれ、ネット上での情報量も充実し、真実がどうであるかに関係なくもっともらしさが増していき、多少ネットリテラシーがある層もYahoo!ニュースに取り上げられる頃には、真実として認識するようになります。

テレビのワイドショーに取り上げられる頃には、一コンテンツとして成立するほど情報量が充実しているため、 最初から真実らしいものとして報道され、新たな視点が付加されたり、真っ向から否定されることはもうありません。

こうして、賛否どちらでもなかった人の意見が「真実らしいもの」に侵食されていき、まるで一般生活者の総意のように意見が一致していく。

■ 真実はどこに?
一般生活者は本当の真実を知る術を持たない以上、真実は人の数だけ存在すると言っても過言ではないでしょう。

外部からの情報量が圧倒的に多いこの時代。自分の意見をしっかり持って、安易に流されないよう、情報を取捨選択する力を身につけたいものです。

(中野)

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